活動概要
従来の半導体デバイスでは、室温(熱雑音)に対して十分に高いエネルギーを投入する(ゆらぎを抑え込む)ことで、高速かつ正確な演算を実現しています。従って、そのデバイス動作には膨大な電力消費が不可避です。一方、生物の行う情報処理は、熱ゆらぎ(生体ゆらぎ)を巧妙に活用することによって、低処理速度でありながら、熱雑音と同レベルの低エネルギーで確率的に動作する情報処理を行っています。この“ゆらぎ”情報処理の鍵は、環境からの“熱ゆらぎ”エネルギーを活用する点にあり、これまでは”厄介者”であった“熱ゆらぎ/環境からのエネルギーを生かす”逆転の発想による超低消費電力デバイスの実現が期待できます。本委員会では、バイオシステムに着想を得た「情報処理」:“生体ゆらぎ”機能活用により、常温環境の熱振動をエネルギー源とする、生体に学んだデバイスの実現を目指します。この鍵となる “ゆらぎ”物性を、非平衡薄膜結晶プロセス技術により原子層制御した機能性酸化物のヘテロ超界面において、ドメイン壁(双極子分極、スピン分極界面)、非対称極性面を形成することで、省エネルギー化実現、低コスト、パワー半導体デバイス技術の確立を目指します。それにより、従来には無い発想である“ゆらぎ”システムに基づき、超低消費電力システムが期待されます。
<研究会/リトリート学習会>
・研究会(年5回)
時代の要請に即応した 先進薄膜界面機能創成 の実現の為に、テーマを絞った研究会及び情報交換会の開催を年間5回計画している。現在重要かつ注目されている課題を抽出し, 委員間で十分な検討をおこなって研究テーマを設定し、年5回の研究会を開催している。
・リトリート学習会[年1回(2日間)]
ゲームチェンジングな新しい発想を生み出すためには、最新情報の提供、情報交換とともに、 薄膜 工学や界面科学等の基礎的な工学内容の理解が不可欠である。委員会へ参加している企業委員の研究者・技術者に対し、学会委員から薄膜 ・界面 に関する基本的な成膜技術、薄膜材料の特性、評価技術等の薄膜技術の基礎から応用までを効率的に伝授する 機会として、リトリート学習会を年1回計画している。